会計税務について
このページでは、タイの会計税務について解説していきます。
まず、租税制度について説明し大まかな概要を理解していただいた上で、
その後に、法人、個人、VATのそれぞれのケースでの税率について解説していきたいと思います。
タイの租税制度
タイの租税制度は国税と地方税に分類されます。
国税には、主に、
-
①法人所得税
②個人所得税
③付加価値税(VAT)
④石油所得税
⑤特定事業税
⑥印紙税
⑦物品税
⑧輸出入関税等
の8種類があり、
地方税には、
-
①土地家屋税
②地方開発税
③看板税
の3種類があります。
タイの税率
それではここからは、国税の中でも特に我々日系企業と関わりの深い、
タイの法人、個人、VATのケースでの税率について解説していきます。
①法人所得税の税率:原則30%。
閣議決定により2013年1月1日~2015年12月31日までに開始する事業年度については20%。
2016年より20%
②個人所得税の税率:個人所得に対し累進税率により課税される。
③付加価値税(VAT)の税率:暫定税率により7%(原則は10%)
①法人所得税
法人所得税の納税義務者は、タイ国内で事業を行うタイ国の法令又は外国の法令に基づく法人、パートナーシップ法人等の各事業年度の課税所得に対し法人所得税を課税されます。
税務上の課税所得を算出するには、税務上の益金から税務上の損金を差し引いた金額が税務上の課税所得となります。
この場合、会計上の収益から会計上の費用を差し引いた利益とは必ずしも一致せず、
会計上の利益から、税務上の益金算入項目と、損金不算入項目をプラスし、益金不算入項目と損金算入項目をマイナスした金額が課税所得。
その課税所得に対し、20%の税率で法人所得税を課税されることになります。
下記はタイの主な損金不算入経費の例です。
- 各種引当金
- 各種拠出金(プロビデントファンドへの拠出金を除く)
- 個人的経費の性質を帯びた支出、寄付、慈善金(一定のものを除く)
- 交際費で一定の限度額を超える金額
- 資本的支出等
- 租税上の反則金
- 事業に特定した経費でない支出
- 専ら国内での事業のために支払った経費ではないもの
- etc
②個人所得税
個人所得税の納税義務者は、タイ国内源泉所得において、居住者及び非居住者共に課税され、
タイ国外源泉所得はタイ国内に持ち込んだ場合に居住者は課税し、非居住者は非課税となります。
※居住者とは、タイ国内に一時的または数度にわたり滞在し、
滞在期間が課税年度内に合計180日に達する人物を指します。
また、個人所得税は、1月1日から12月31日までの暦年の課税所得に対し課税されます。
なお課税対象所得の範囲は下記の通り。
- 雇用所得
- 人的役務提供に係る所得
- ロイヤリティ等
- 利子、配当所得
- 賃貸所得
- 専門家報酬
- 請負報酬
- 事業所得
個人所得税は、課税対象所得の所得から各種所得控除を控除した、
課税所得金額に対し累進税率を乗じた所得税率を基に算出します。
以下、所得税率表

③付加価値税VAT
付加価値税(VAT)とは、日本の消費税に相当する税金のこと。
タイ国内で行われる物品販売、サービスの提供、物品の輸入取引に対して税率7%(暫定税率)が課税されます。
また、タイではインボイス方式が採用され、VAT課税取引を行う際に「タックスインボイス」の発行が必要とされます。
そのため、仕入VATを控除するためには「領収書」や「請求書」ではなく、
「タックスインボイス」によって仕入VATを立証することが必須。
VATは毎月税金計算を行い、月末締め翌月15日以内に申告・納税をしなければなりません。
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