タイのVATの重要ポイント
皆様こんにちは、Bridge Note (Thailand) Co.,Ltd. の片瀬です。
今回のコラムはタイのVATについて書いていこうと思います。VATとは付加価値税のことをいい、日本の消費税と同じものと認識してもらえれば分かりやすいかと思います。
このVATを考えるにあたり、ポイントとなることは「インボイス方式」、「タックスインボイス」、「課税時点」、「ペナルティ」、「3か国貿易」、「サービスの輸入に係るVAT」このあたりになるかと思います。
特に理解が難しい「3か国貿易」と「サービスの輸入に係るVAT」に関しては、前回と前々回のコラムで執筆しましたので、今回はそれ以外の「インボイス方式」、「タックスインボイス」、「課税時点」、「ペナルティ」を説明します。
インボイス方式
VATの計算方法(仕入税額控除の要件)には、インボイス方式と帳簿方式の2つがあり、タイではインボイス方式、日本では帳簿方式がそれぞれ採用されています。
仕入税額控除の計算にあたり、インボイス方式ではTAX INVOICEに記載された税額のみ控除することができ、帳簿方式では保存された帳簿(関連証憑も必要)に記載された税額を控除することできます。つまりインボイス方式では1つ1つのTAX INVOICEの積上げでVATの税額計算を行い、帳簿方式では帳簿に記載されているVATの合計額をもって税額計算を行います。
そのためにインボイス方式の方が客観性の高い方法(日本も将来的にインボイス方式への移行を検討)とされ、タイも含めた多くの国でインボイス方式が採用されています。
この客観性の高いインボイス方式のデメリットとしては、管理の煩雑さが第一に挙げられます。日本人の感覚では経費精算時などはレシートを集めれば良いと考えてしまいがちですが、タイではVATの税額計算に必要なものはTAX INVOICEです。TAX INVOICEがなければVATの仕入税額控除が取れませんので注意してください。
TAX INVOICE
インボイス方式を採用しているタイにおいては、TAX INVOICEに記載する項目も法定されています。その記載項目は次の通りです。
・登録事業者(提供側・受領側共に)の名称、住所、納税番号、本店又は支店
・TAX INVOICEの番号(連番管理)及び発行日
・サービス又は物品販売の詳細と詳細毎に区分された税額
このような項目が記載されたTAX INVOICEを5年間紙ベースで残します(本来はデータで残すべきなのでしょうが、監査や税務調査の際に紙でなければ認められないなどの指摘を受ける可能性があるために紙で残した方が無難です)。
課税時点
VATの課税時点(課税時点とは納税義務が発生するタイミングを言います)は、TAX INVOICEの発行時だと思っていませんか?
もちろんTAX INVOICEの発行時点も課税時点の一部ではありますが、次のような場合にはTAX INVOICEの発行がなくても税務調査で納税義務があるとされてしまいます。
・物品の引き渡し(所有権の移転含む)があった場合
・物品、サービスの対価の受領(前受金を含む)があった場合
・サービスの使用があった場合
特に前受金を受けているがVATはTAX INVOICEに則って支払っている場合に、税務調査で指摘されることが目立っていますので注意が必要です(他のものは基本的にTAX INVOICEと連動するために問題となることは少ないです)。
ペナルティ
最後にペナルティの内容です。
・無申告加算税・・・・・・・・・・税額の200%
・過少申告加算税・・・・・・・・納付不足額の100%
・延滞税・・・・・・・・・・・・・・・・納付不足額の1.5%/月利
VATは毎月の申告納税が必要となりますので、特にその取扱いは注意してもらえればと思います。
さてVATの取扱いについて少し詳細に記載しましたがいかがでしたでしょうか。特にTAX INVOICEは日本にはないものですので、しっかりと先方から入手(特に役務提供に係るTAX INVOICE / RECEIPT)し、かつ、自社内での保存がされているか再度ご確認いただければと思います。
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