在庫差異の発生理由
皆様こんにちは、Bridge Note (Thailand) Co.,Ltd. の片瀬です。
今回のコラムは「在庫差異の発生理由」です。
在庫差異とは、在庫台帳や在庫管理ソフトの在庫数と実地棚卸による在庫数に差異が発生した場合のその差異をいいます。
つまり、帳簿棚卸高と実地棚卸高の差異が在庫差異となります。
在庫差異が発生する原因は大きく次の5つに分類されます。
①在庫管理ソフトなどへの記入ミス
②預け在庫、預り在庫の発生(計上タイミングのズレ)
③現物との突合していない(注文書、納品書など)
④整理整頓ができていない(5Sの不足)
⑤減耗・盗難
在庫差異は最終的には棚卸減耗損などに巻き込まれて会計上は費用計上されることとなりますが、タイにおいては税務上、棚卸減耗損については損金不算入(税務上の費用として計上することができない)となりますので注意しなければなりません。
※棚卸減耗損の詳細は、以前書いた「【ブログ】棚卸資産の取扱い」⇒http://blog.livedoor.jp/bnthailand/archives/14745034.htmlをご確認ください。
基本的に在庫の実地棚卸は、半年又は一年に一度行われるために、実地棚卸を行わずに帳簿上の棚卸残高だけを確認している場合には、予期せぬ問題が起こってしまう可能性があります。
【在庫過多の場合】
㋐売れ残り
㋑倉庫スペースの圧迫
㋒価格の下落
㋓廃棄
【在庫過少の場合】
㋐販売機会の逸失
㋑調達コストの増加
㋒資金繰りの悪化
㋓顧客満足度の低下
このような状況を引き起こさないためにも、「適正在庫管理」をしっかりと行わなければなりません。
定量発注や定期発注の決定はこの「適正在庫管理」という考え方の下で決定されます。
また、適正在庫管理は理論上の概念(帳簿上の概念)であるために実地棚卸高への影響は別で考慮しなければなりません。
この「適正在庫管理」においては、“適正在庫量”、“適正年齢”が重要な概念となります。
在庫回転率と在庫回転日数を確認し、まずは過年度との比較、同業他社との比較をしてみてください。朧気ながら適正在庫量と適正年齢が見えてくると思います。
ただし、在庫差異がどこで発生しているかわからないような管理状況であれば適正在庫管理は机上の空論となってしまいます。
そのために在庫差異の原因が不明な会社においては、「受注管理」、「購買管理」、「生産管理」、「出荷管理」、「システム入力」のフローをそれぞれ確認してください。
主な在庫差異の発生原因は冒頭に記載した5つの項目ですのでそちらを念頭においていただければ差異の発生原因がつかめるように思います。在庫差異の改善ができなければ適正な在庫管理はできません。
【適正在庫量の設定】
各種フローの確認⇒在庫差異発生原因の解明⇒在庫回転率等の比較検討⇒適正在庫量の設定
在庫量が多くなってくると、各種フローの確認においてエクセル管理等に限界を感じることになりますので、その際には在庫管理システムの導入を検討することになるかと思います。まずは在庫差異の発生しない環境の整備から始めていただければ幸いです。