SDGs/ESGへの取り組みについて

SDGsとかESGって何?

ここ数年、投資や企業経営に関する本、メディア等で、やたらと新しい言葉を耳にするようになったとお感じの方も多いと思います。先に当コラムでご紹介したパーパス経営もその一つと言えましょう。その中でも特に混乱を招いていると思われる言葉がSDGsとESGです。 これらの言葉の意味するところが一部重なっていたりするので、さらに混同しやすいと思います。

今回は今さら会社で同僚に聞くにはやや気恥ずかしいが、かといってビジネスパーソンとして知りませんとは言えないこれらの言葉について、ここで簡単に整理したいと思います。


まずSDGsから

ESGを理解するためには、まず対象範囲がより広いSDGsを理解しておく必要があります。SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)についてですが、これはネットや各種メディアにもあふれて定義もどこにでも書いてあるように、国連が2030年に達成を目指すとした指針のことであり、「貧困をなくそう」、「気候変動に具体的な対策を」などの17の目標と169の達成基準、232の指標から構成されます。達成を目指す主体は国連加盟の各国ですので、各国政府に規制される会社やNPO等の団体、さらに各国国民も当事者ということになります。つまり誰にとっても関わりのある話しということになります。SDGsは日本のメディアの取り上げ方が偏っているせいもあって地球環境対応の文脈での話しが多い印象ですが、貧困や教育、衛生といった人権に関するテーマも多く、また先進国と発展途上国とでは取り組み姿勢やアプローチにも大きな違いがあることは知っておいた方がいいかもしれません。SDGsの具体的な目標等については書籍やネット上でも大量の情報があるため、より関心をお持ちの方はそれらの手段で情報入手いただければと思います。

ESGとは?SDGsとの違い

ESG(Environment Social Governance)とは、従来の売上や利益といった財務的な項目だけでなく、Environment(環境対応)、Social(社会。主に人権、ダイバーシティー)、Governance(企業統治。日本語でもガバナンスとそのまま使われる事が多い)の非財務項目に配慮した経営を実践する企業への投資を促進しようとする考え方です。SDGsとの違いを明確にする意味で、投資家の投資判断基準となっていることからESG投資と呼ばれることも多いです。2006年国連が提唱した「責任投資原則(PRI)」がきっかけとなり、その後巨額の年金積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や世界の主要機関投資家が軒並みESGに沿った経営を行う企業への投資を推進することを表明したこともあり、多くの企業では経営を実践する際の実質的な規範として作用しています。つまりSDGsは政府、企業、NPOさらには国民まで、すべての人や団体が関わるべきテーマなのに対し、ESGは投資家の判断基準として企業側が遵守すべき規範になっており、内容に重複があるものの実践主体が違うという点が大きな違いとい言えます。昨今はSDGsへの対応、及びESGへの遵守状況を年次報告書等で丁寧に説明している企業が増えてきた印象です。

自分事としてどうSDGs/ESGに向き合うのか

従来は企業の社会的責任は利益を上げることで果たされるという考え方がありましたが、今そんな事を言ったら時代錯誤も甚だしいと炎上する状況です。適正な利益を上げるのは前提として、投資家だけでなく、顧客、社員、取引先、地域社会等のあらゆるステークホルダーに多方面に配慮し、環境保全やダイバーシティー推進を積極的にすすめてその内容を透明性高く開示することが企業に求められています。「利益を上げ続けるだけでも大変なのにコストが増える要因ばかりでは?」と思われる方も多いのが現状ですが、企業が活動を継続するためには活動地域での環境や治安が保全され、社員の心理的安全性が保たれているなど、多くの前提条件が充足されていることが必要不可欠であり、元々大きな責任を負っていたのを今、改めて明示されたとも言えます。また、地球温暖化防止のトレンドを新たなビジネスチャンスとしてとらえるスタートアップも増えてきています。昨今は世界中どこにいても異常気象を体感することが多くなり、地球温暖化の問題が深刻さを増していることは誰にとっても自分事として感じやすくなっています。人権問題についてもかつてないほど注目が集められています。社会の中で、企業活動の地球環境に与える影響が大きなものがあり、多くの人たちが働く場が企業です。自社の業種は環境問題には関係ない、ではなく、SDGsのどの目標達成に自社なら貢献できるのか、ESGで要求されている規範のどれがまだ自社には不十分なのか、まだ取り組んでいない企業にお勤めの方は身近な自分事として考え始める。すでに取り組み始めている企業にお勤めの方は自社の取り組みが十分なのか第三者目線で評価してみる。そういったところからSDGs、ESGが提起する課題に取り組み始めてはいかがでしょうか?

今回コラムを執筆頂いた方のプロフィール

鎌倉 俊太郎 (ペンネーム)

某大手コンサルティングファーム 監査役

日本公認会計士。慶応義塾大学卒。大手ITベンダー、コンサルティングファームにて、IT、会計分野における企業のコンサルティングに多数従事。(ご本人の希望により、仮名で記載しております。ご了承ください。)
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