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執筆者の写真鎌倉 俊太郎

顧客と取引先との関係について


デジタル人材育成プログラム

下請企業への不当な扱いが問題に


 昨今、自動車業界における下請企業に対する不当な取り扱いが頻繁に報道されています。自動車産業は日本経済において就業者数が最多の産業であり、基幹産業と言ってもいい存在だけにその社会的影響は大きいものがあります。


 もっともこの問題は本質的には顧客とその取引先との関係性に起因する問題だと思います。そこで今回はこの問題をきっかけに、顧客と取引先との関係についてご一緒に考えてみたいと思います。なお、本稿では一般消費者との取引ではなく、会社対会社の関係を想定して記述している点は予めご了承ください。

 

顧客は元々優位な立場にいるので取引先を守る法律がある


 言うまでもなく、顧客(発注側)は複数の取引先(サプライヤー)から1社を選択して発注するので、取引先に対して優位な立場にいます。だからといって、取引を前提として無理難題を取引先に持ちかけることは本来許されず、独占禁止法、さらには特に立場の弱い中小企業を保護する観点から下請法が日本では昭和時代に制定されています。


 下請法に関しては以前も当コラムでご紹介した事がありますが、ちなみにタイでも細目に相違はあるものの、同様の趣旨で類似の法律が近年制定されています。

 

コンプライアンス


 もっとも法律さえ守れば取引先に何を要求してもいい訳ではありません。実際の取引の現場では、契約書に明記しきれない様々な状況があります。例えば取引先が納品する製品やサービスの水準等に齟齬がある場合がその一例でしょう。もちろん正当な要求は発注元としてすべきですが、発注元としての優位な立場をかさに威圧的な態度で自分の要求を通そうとすることも最近は許容されないと考えるべきです。


 主に消費者対応の企業が率先してカスタマーハラスメント対応方針を外部に公表し始めていますが、会社対会社の取引ではお互い担当者や対応組織が決まっていて関係性が固定化されることが多く、個人相手以上にこうした問題に注意を払う必要があります。コンプライアンスを法律で禁止されている行為のみと狭くとらえるのは会社としても危険な行為と認識すべきです。また、顧客の問題行為を放置した場合、社員の安全を守れない会社側の責任を問われる事態にもなりえます。

 

法律やルールで縛る以前の話し


 ここまで法律やらコンプライアンスやら固い話しをしてきましたが、そもそも何で顧客の立場だというだけで取引先に無理を言ったり威圧的な態度で接するのでしょうか?発注元も、自社が必要とするから取引先に製品やサービスを発注するわけで、本来その関係は対等なはずです。欧米で仕事をした方はご経験があると思いますが、お客様は神様という発想で取引先に無理を言う風習が根強いのは先進国、特にG7加盟国では日本ぐらいです。


 立場の違いこそあれ、お互い切磋琢磨していい製品サービスを提供し、社会の発展に寄与する社会の構成員である点に何ら違いはありません。支配従属に近い関係では、社員も萎縮してしまって互いにいい製品やサービスの提供など期待出来るはずもありません。道徳の話しをするつもりは毛頭ありませんが、自分の経験からも健全な競争環境の中で緊張感がありながらも互いに信頼しあい、尊重しあう事がビジネスを推進する上で最も大切な事だと固く信じています。今回のコラムがお説教がましく聞こえたらご容赦下さい。



【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 
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