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執筆者の写真鎌倉 俊太郎

損益計算書とは何か?損益計算書を見て分かること


DX人材育成の必要性

今さら聞けない、損益計算書とは?見るべきポイントは?


 経理部門でのキャリアが長い方はともかく、製造や販売のキャリアが中心の方にとっては決算書という名前は社内外でよく聞くし目にするものの、今一つその役割や見方が分からないという方も少なくないと思います。そこで当コラムで決算書の機能や最低限見るべきポイントついて平易にお伝え出来ればと考えています。今回は、決算書の中でも一番利用頻度の多い損益計算書の項目に絞って解説します。具体的な例として、キーエンス株式会社の直近の連結損益計算書を参照します。


損益計算書では最低限何を見るべき?


 損益計算書には、一会計期間の売上と費用、利益の額が明示されています。結論から先に言うと、損益計算書上、最低限見なければいけないのは売上、営業利益、当期純利益の3つです。売上は説明の必要はないかと思いますが、売上が立たなければ費用も払えず利益も生まれないのですべてはここから始まります。数年間にわたる売上の増減を見て企業が成長軌道なのか、苦戦しているのかを直感的に理解できます。


 次に営業利益です。営業利益は売上から売上原価、販売費一般管理費を控除して計算されます。営業利益が多くの企業にとって最重要な指標となっているのは、営業利益が“本業で稼げているか?”を直接的に示しているからです。売上がいくら多くても営業利益が赤字ややっと黒字という程度では、本業が順調でないことを示しています。


 最後に当期純利益です。本業以外の収益や費用を営業利益に加減算し税金を支払った上で利益を残せたかどうかを当期純利益は示しており、営業利益が黒字でも当期純利益が赤字だと本業以外で何か問題があったことを示唆しています。なお、“利益”と言っても、上記以外に“粗利益”や“経常利益”、“税引き前利益”というようにいろいろあります。社内外で“利益”の話しをするとき、お互いどの“利益”の話しをしているのか、お互い確認しないと話しがかみ合わないことがあるので注意が必要です。


どのように見るのか?比率と趨勢を見る

 上図を見ると、2022年3月期と2023年3月期の2期間の損益計算書が並んでいます。通常は2期並べて表記し、前年との変化を見ます。売上、各段階利益の増減の程度を見て、直近で事業が順調に推移しているかを判断します。有価証券報告書上の主要経営指標の推移の項では5期分の売上と各段階利益の金額が記載されているので、数年間にわたる事業の趨勢も判断することができます。


 また、個別項目の趨勢を見るだけでなく、利益と売上の比率を比較して収益性の推移も判断できます。キーエンスでは2022年3月期の営業利益率(営業利益÷売上)がそれぞれ55.3%、54%と、前年より若干収益性は低下したものの安定的に高水準な収益性を維持していることが見てとれます。この比較を数年にわたって行うことで、将来の収益性の推移もある程度予測できます。


 これらの比較を同業他社と行うことで分析対象企業の業界内での位置付けも判断来ます。日頃から自社の属する営業利益の水準に対する感覚値を持っておけば、数字を見れば一目で本業が順調か、他社に劣後していないかを直感的に判断できるようになります。


分析はいくらでも深めることが出来るがまずは基本の数字を押さえる事が大事


 上記の他にも当期純利益の比率や増減理由を見ることで本業以外の財務活動や資本政策の影響等を見ることもできますし、次回ご紹介する貸借対照表上の数値と組わせてROE(自己資本利益率)や総資産回転率等の経営指標を算出して総合的な経営状況を判断することもできます。とはいえ、まずは冒頭お伝えしたように売上、営業利益、当期純利益の3項目をおさえていただき、なれてきたら分析の手法と範囲を広げていければいいのではと思います。


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