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執筆者の写真塚本 裕司

タイの会計監査について


タイの会計監査

監査について


 タイにおける全ての法人は原則公認会計士による法定監査が義務とされています。

非公開株式会社の監査に関しては、民商法典(CIVIL & COMMERCIAL CODE)に財務諸表は1人以上の監査人に監査され、4か月以内に株主総会に提出されなければならないと規定されています。

 上場企業においては、決算日から3ヶ月以内に公認会計士による監査済財務諸表を証券取引所へ提出しなければなりません。 また、監査人は、定時株主総会において、財務諸表及び会計記録に関して報告しなければならないと定められています。

 監査人とは、民商法典には、どのような資格にもとづき誰が監査人になれるのかが規定されていませんが、会計法で定められている公認監査人=公認会計士(CERTIFIED PUBLIC ACCOUNTANT)が民商法典上の監査人であるとされています。


 前述の通り株式会社に対する公認会計士の監査は民商法典において規定され、他の法人に関しては会計法(ACCOUNTING ACT 2000)に規定されています。

原則、株式会社、登記済みパートナーシップ、外国法人、歳入法典上のジョイント・ベンチャー等は、会計記録作成義務者が財務諸表を作成し、公認会計士の監査を受けなければなりません。また、歳入法典において、法人税申告書は、貸借対照表、損益計算書等の財務諸表を添付して提出すべきことが定められ、これらの財務諸表は監査済みでなければならない旨規定されています。よって、法人税の申告書を提出する際には、必ず財務諸表について公認会計士の監査を受けている必要があるのです。


タイ国の財務報告について


 すべての法人は各会計期間の財務報告を作成する義務があり、その財務報告は公認会計士により監査され、監査意見をもった後、決算日より120日以内に株主総会を開催し、株主に承認され、決算日より150日間以内。つまり株主総会から30日以内に監査済財務諸表等を商務省事業開発局および国税局に提出する必要があります。


ジョイント・ベンチャーを除く支店、駐在員事務所、地域事務所など外国企業の場合

 支店のマネージャーが監査された財務報告の写しを会計年度の決算日より150日間以内で登記官に提出することが義務となり、株主総会、株主承認等は不要です。


公開株式会社の場合

 取締役に会計年度の決算日より4ヶ月以内で年次株主総会を開催し、監査された会社の財務報告に承認を受ける義務があります。

 監査された財務報告書およびその財務報告を承認した株主総会議事録の写しを、それぞれ取締役の証明を受け、総会日現在における株主名簿とともに株主承認日より1ヶ月以内で登記官に提出し、最低1日その財務報告を新聞に公告しなければなりません。


BOI企業の場合

 この他多くの日系企業はタイ国投資委員会、通称BOI(Board of Investment)への投資申請を行い認可を受け、法人税や機械設備・輸入原料の減免などの優遇措置を受けています。

 BOIの認可を受けた場合、この減免措置を事業報告書に、公認会計士の監査報告を付して提出することが義務付けられています。

 この監査は、機械への投資や日々の生産量が条件通り行われているかについて行われ、通常の監査報酬とは別のコストが発生することが多くあります。

BOI認可企業等の場合これらの監査対応が可能な公認会計士を選任する必要があります。


【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 

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