タイで経営をするうえで押さえておきたい3つのポイント
- 倉地 準之輔
- 2月5日
- 読了時間: 4分
更新日:3月5日

タイで経営するとは
タイで事業を展開するということは、日本とは異なる文化や規制の中でビジネスを進めていくことを意味します。特に、日本本社に比べて人員や経営資源が限られる中で経営を行う必要があり、時間的な余裕がない中での意思決定が求められるのが現実です。
これは、私自身がタイで経営をしている立場として、日々実感しているところです。そのため、理想通りにすべてを進めるのは難しいかもしれません。とはいえ、最低限押さえておくべきポイントは存在します。本稿では、タイでの経営を成功に導くために不可欠な3つのポイントをご紹介します。
1. 財務諸表は毎月確認する
「財務諸表の見方が分からない」「売上を上げることが優先」「財務諸表は提出が遅いから感覚で判断する」という声を耳にすることがあります。しかし、こうした理由で財務諸表を軽視するのは大きなリスクを伴います。
財務諸表は、株主や親会社、取引先といった外部関係者に対して、会社の財務状態や経営成績を示す重要な資料です。経営者は、自社の客観的な状況を把握する責任がありますから、このための資料である財務諸表を確認しないまま経営を進めることは、自分の姿を鏡で確認せずに外に出るようなものです。
そのため、毎月財務諸表を確認し、経営判断に役立てるべきです。財務諸表を見ているうちに、ちょっとした気づきもあるでしょう。これを習慣化することで、経営の透明性や適切な意思決定が可能になります。
2. 予算を立てる
タイの会計スタッフに記帳を依頼している場合、過去の取引データはしっかり記録してくれる一方で、未来の見通しである予算を作成してくれることは少ない傾向にあります。しかし、年間の収益予測や目標がなければ、現在の業績が良いのか悪いのかを判断することは困難です。
予算を立てずに経営を行うのは、行き先を決めずに飛行機を飛ばすようなものです。年間の収益や支出の見込みを把握していないと、事業の方向性を見失い、経営判断が曖昧になる可能性があります。
予算を作成することで、目標に対する進捗状況を確認しやすくなり、課題を早期に特定して対応策を講じることが可能になります。予算は、会社の経営を支える基本的なツールとして必ず作成してください。
3. 信頼できる情報源を複数持つ
経営者は、日々多くのタスクに追われながら迅速かつ適切な意思決定を求められます。そのためには、正確かつ信頼性の高い情報が不可欠です。特に、タイでの経営では法規制や市場動向が日本と大きく異なるため、多方面から情報を収集し、慎重に判断することが求められます。
私自身、タイで経営をして10年目になりますが、現在でも会計、税務、法務、経営などの分野において複数の専門家に相談しています。これらの専門家は、必要な情報を提供してくれるだけでなく、リスクの軽減やチャンスの発見にも貢献してくれます。信頼できる情報源がない状態で経営を行うのは、単独で冬山登山をするような危険を伴います。適切な情報源を複数確保し、それを積極的に活用することが経営の成功につながります。
まとめ
タイでの経営は、日本とは異なる環境や制約の中で効率的かつ戦略的に動く必要があります。本稿で挙げた「財務諸表を毎月確認する」「予算を立てる」「信頼できる情報源を複数持つ」という3つのポイントは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これらを実践することで事業の健全性を保ち、成長を促進することができます。
経営者として、これらのポイントを実行することは決して難しいことではありません。しかし、これらを怠ると大きなリスクに直面する可能性があります。ぜひこれらのアドバイスを参考に、タイでのビジネスをさらに成功へと導いてください。
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