タイでの従業員の試用期間中の解雇に関するQ&A
タイにおける従業員の解雇に関する相談で、最も多い質問は試用期間中の従業員を解雇する場合の取り扱いです。今回は、よく挙がる質問事項について、Q&A形式で整理します。
Q:雇用契約に試用期間が設定されているため、期間の定めのある有期雇用契約と解釈し、雇用契約の終了への事前通知の必要性についてはどうでしょうか?
A:試用期間の記載があっても、期間の定めのない無期雇用契約とみなされますため、試用期間中の雇用契約の終了は、労働者保護法第17条に従って、事前通知または契約終了日までの賃金を支払う必要があります。
Q:会社の業務内容が高度な技術を要するため、試用期間1年間の設定は可能でしょうか?
A:可能です。注意点として、当該従業員が入社してからの勤続期間が120日経過後に雇用契約を終了した場合、会社は労働者保護法第118条に従い、最終賃金の30日分の解雇補償金を支払う義務が生じます。
Q:タイで日本人を採用しましたが、試用期間中に本採用の見送りを考えています。この場合の注意点はありますか?
A:タイの労働者保護法の他に、外国人就労法やBOI規定に従っての対応が必要です。特に、雇用契約終了日(解雇日)より15日以内に会社は所轄労働局にてワークパミットの取消等の手続きがあり、この手続きを怠った場合、最高 20,000 バーツの罰金が科せられます。外国人労働者を解雇する際、当該従業員のタイ滞在期間またはタイ国外の出国日を確認の上、個別に対応することが好ましいです。
Q:会社の賃金支払いは毎月15日と月末です。最終1賃金支払期間前までの考え方を教えてください。
A:仮に試用期間の終了日を4月5日とします。試用期間終了前の最終賃金支払日は3月31日のため、会社は当該従業員に対し、最終1賃金支払期間である3月15日前までに事前通知を行ってください。
Q:試用期間中の従業員への解雇補償金は何日以内に支払わなければならないのですか?
A:解雇補償金の部分は雇用契約終了日(解雇日)に支払わなければなりません。一方、残業代、休日出勤手当等を含む最終賃金は解雇日から3日以内の支給が必要です。
Q:試用期間119日を60日間延長しましたが、本採用不合格としました。この場合、解雇補償金を支払う必要はありますか?
A:試用期間の延長ではありますが、従業員が勤続120日以上であることから、会社は労働者保護法第118条に従い、最後賃金の30日分の解雇補償金を支払う義務が生じます。また、1賃金支払期間前までに事前通知を行わず、即解雇する場合、さらに、最終賃金の30日分の賃金を支払わなければなりません。
Q:解雇補償金は課税されますか?
A:原則として、課税されます。試用期間は一般的には5年未満のため、月給所得と同じく累進課税が適用されます。
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