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執筆者の写真鎌倉 俊太郎

DX人材育成の必要性


DX人材育成の必要性

DX人材がKey Success Factors(重要成功要因)となってきた


 2018年に経済産業省が初版のDXレポートを世に出して以来、毎年のように立て続けに同レポートの改訂版が出されています。レポートの中で一貫して言及されているのがDX人材育成の必要性です。一方で多くの企業がDXに取り組んでいるものの、明確な成果を上げたと言える企業は少数派ともされています。

 

 DX推進がうまくいっていない背景には、経営陣の理解とコミットメントレベルが浅い、変革に対する現場の抵抗感が強い、老朽化した既存システムが足かせになっている等々いろいろな要因が考えられますが、その中でも重要な要因の一つとしてDX人材の不足が指摘されることが多いと感じています。そこで今回はDX人材を増やすための方策として、DX人材育成についてご一緒に考えてまいりたいと思います。


DX人材の分類


 DX人材と一口に言っても、いろいろな役割、スキルセットの人がいます。一般社団法人情報処理推進機構によれば、ビジネスデザイナー、テックリード、データサイエンティスト、エンジニア/プログラマ等の7分類されたDX人材の類型を例示していますが、これらの類型をすべて有している会社はITサービス専業の企業でも多くはないかもしれません。従来、及び現状でも、多くの大手企業では自社でIT要員を有しながらもIT部門が窓口となって大半のITシステムの保守運用業務を外部ベンダーに委託しているのが実情です。


なぜ社内にDX人材が必要なのか


 社内でITリソースが足りなければ社外に依頼するのは予算管理もしやすく余剰人員を生み出す心配もないので一見合理的な選択でしたが、結果として社内にIT知見を有した人材が育ちませんでした。「DXをやらないといけないから何か考えろ。。」と経営陣から言われたって、そもそもITで何ができるのか知見がなければITを活用した新しいビジネスモデルなど思いつきようもありません。


 「ご一緒に考えましょう。。」とアプローチしてくるITコンサルティング会社も増えてきましたが、DXは1回構築すれば10年以上使い続ける基幹システムと違って環境変化に応じて頻繁に更改しながら新しいビジネスモデルを刷新し続けながら日々のビジネスを回していくアプローチであり、仕事の仕方の変革そのものの取り組みです。確かにヒントや考え方をまとめるためには外部コンサルタントの助けを借りるのも時には有効ですが、何から何まで外部に頼っていては費用がいくらあっても足りませんし、知見も社内で蓄積されず、いつまでたっても社員が新しいITインフラを活用して仕事が出来る状況になりません。


 従って従来のIT関係の仕事はIT部門まかせという発想を捨て、外部人材の採用強化と教育によって全社員のDXレベルを底上げする必要がどうしても出てくるのです。そもそも昨今では優秀なDX人材の採用は極めて困難であり、既存社員の育成に力点が置かれるケースが多いようです。


最近の企業の取り組み状況


 DXの重要性を認識し、社内でDX人材を育成する取り組みを全社的に推進する企業も段々と増えてきました。当初は社員のITリテラシーを高めるために必須研修のメニューにIT系の科目を増やす取り組みが多かったですが、全社員をバックグラウンドやスキルセットに応じて層別し、AI等の先進的なテクノロジーに通じた選抜された少数のエキスパートの育成に集中投資するような事例も増えてきました。ダイキン工業のように、DX人材育成の社内大学まで創設した事例もあります。


 人材育成は一朝一夕にいかないため、DXの重要性、さらにDX人材の必要性に早くから気が付いた企業ほど社内でのDX人材の育成体制の構築に着手し始めていると言えると思います。


今後のDX人材育成の方向性


 DX人材の育成は、プログラミング等のITスキルを社員に身に付けさせる事ではありません。大事なのはビジネス、つまりITテクノロジーを活用していかに既存のサービスをより効率よく顧客にとって魅力的なものに変革させうるか、さらに新しいビジネスモデルを生み出せるかです。それを考え出して実行できるのは外部のコンサルタントではなく自社の製品やサービスを熟知した社員の方々です。ITテクノロジーへの知見を高めた社員が柔軟な発想で新しいビジネスモデルを考えられるようにする、それを目標とした人材育成の取り組みが今後広がってくることを期待したいと思います。


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