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執筆者の写真深澤 チトラートン

タイのサイン権者について


タイのサイン権者について

タイのサイン権者について


 タイで会社設立や法人口座を開設する際に、必ずサイン権者を決めなければなりません。タイの「サイン権者/Authorized Director」は、ハンコ文化の日本では聞きなれない用語の一つですが、簡単に説明しますと契約書や申請書等への署名権限が付与された企業の代表者を指し、この代表者のサイン(署名)が法的効力を持つことになります。このサイン権者について、押さえておきたいポイントを整理します。


サイン権者の選任方法


 通常、サイン権者は会社登記上の取締役から選任されます。取締役1名のサインで有効とする単独署名、あるいは複数の取締役のサインで有効とする共同署名などを規定することができます。また、サイン権者の条件は、会社証明書(定款)の第3項に明記されます。


 利便性の点では、登記上取締役の中から1名による署名+社印押印を選択する企業が多いですが、リスクマネジメントの観点から、登記上取締役の中から2名による共同署名+社印押印を選択する企業もあります。


サイン権者の国籍は問われますか?


 タイ人でも外国籍の方でもサイン権者を指定することができます。但し、法的効力の観点や分野によって、タイ人しか署名できないことがあります。法的効力の観点において、サイン権者が外国籍の場合、ワークパミット取得が必須条件になります。


 法律上、限定されている分野として、旅行業を営む企業は、旅行許可書を申請する際、ワークパミット保有している外国籍の取締役でも署名できず、タイ人の署名に限られます。


サインの形は何でも良い?


 社内文書や支払承認伝票等に署名する場合、サインしやすいもので良いですが、社外文書や政府機関に提出する書類や決算書、契約書等に署名する場合は、本人確認ができるパスポートのサインを引用しなければなりません。


・パスポートに表示されているサインが漢字の場合 、サインの形は「漢字」

・パスポートに表示されているサインが英語の場合 、サインの形は「英語」


 特にビザ、ワークパミットを申請する際、100枚近くの提出資料の署名を求められることがありますので、パスポートに署名するサインをよく考えてから、形を決めると良いです。


 補足説明として、サインした用紙が原本と写しを区分しやすいよう、タイでは青いインクのボールペンを使用することが基本です。特に銀行口座の出金伝票に雑に署名し、パスポートと似ていない場合、出金ができないことがありますので、丁寧にサインをしましょう。


まとめ


 企業の業種やサイン権者の条件に従っていない場合、署名した書類が無効になったり、提出先の政府機関、銀行が受付できなかったりすることがあります。


 最近では、サイン権者の条件だけでなく、そのサイン権者の本人確認として、ビザ・ワークパミットのスタンプページ、ワークパミット保有していない方は入国スタンプを求められることがありますので、サイン権者になる方の条件について、その時の規定や環境に従って対応する必要があります。


【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 
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