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執筆者の写真深澤 チトラートン

タイでの重要書類の住所記載について


タイの会計・税務の基礎知識、会計事務所の選び方、定評ある会計ソフト・ERPシステムの説明等を分かり易く解説。

タイでの重要書類の住所記載について


 売買契約書や雇用契約書、納品書、請求書、領収書、Tax Invoice等の重要書類を作成した際、自社住所は必要な記載事項の一つです。VAT免除事業者は商務省が発行する会社登記事項証明書(ナンスー・ ラップローン・ ボーリサット)に記載される住所を引用しますが、VAT納税義務者の場合、会社登記事項証明書の他、税務署が発行するP.P.20 (ポーポー20)VAT納税者登録証に記載される住所を引用することができます。


 しかし、登記担当者や添付資料等の諸事情により、当該書類に記載される住所または書き順が必ずしも一致しているとは言えません。具体的な例として、会社登記事項証明書の住所には道路名や郵便番号の記載はありませんが、VAT納税者登録証の住所には道路名や郵便番号の記載があります。そこで、VAT納税義務者が契約書または請求書を作成した際、どの住所を引用すればよいか?また使い分ける基準は?というご質問にお答えしたいと思います。

 

基本的な考え方


 売買契約書や雇用契約書の場合、「会社登記事項証明書」の所在地を引用することが一般的です。会社登記事項証明書には、サイン権者(会社の代表してサインできる者)を証明する他、法人のKYC(本人特定事項の確認)として会社登記事項証明書を使用します。


 特に法人への裁判手続きにおいて、訴状に法人の所在地を示すための会社登記事項証明書の添付が必要です。または土地購入の際、土地権利登記時に引用する場合も会社登記事項証明書になります。


 一方、税金関係の重要書類(納品書、請求書、領収書、Tax Invoice等)は、税務署に登記されている会社の住所、つまり、「VAT納税者登録証」の住所を引用することが基本となります。登記内容が異なりますと、エビデンスとして不十分であるという理由により、付加価値税等の使用、申告、還付ができなくなる場合がでてきます。

 

税金関係の重要書類の番外編


 会社登記事項証明書またはVAT納税者登録証の記載はタイ語表記です。英語表記に置き換えた場合、タイ語と同意味であれば、税務署は厳しく問うことはありません。例えば、Thong Lo, Thong Lor/ Khlong Toei, Klong Toey。


 本社の他に支店登記している場合、本社と支店は各VAT納税者登録証に従って、住所を記載しなければなりません。その際、本社(Head office)、支店(Branch○○○○)も忘れず記載する必要があります。

 

結論


 書類には、自社の住所だけでなく、取引先の住所も正しく記載することが常識ではありますが、重要書類に関しては、作成目的やその用途を鑑み、適正な住所を記載することがとても重要であるといえます。


【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。

 
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