いまさら聞けないDXとは?【連載 第3回】

いまさら聞けないDXとは?【連載 第3回】

「DX」という言葉、耳にされたことはございますか?

「DX」とは、「デジタルトランスフォーメーション」の略で、企業あるいは社会全体のIT化、デジタル化といった、ぼんやりとしたイメージを抱かれる方も多いことと思います。

「デジタルトランスフォーメーション」とはいったい何なのか?全5回のコラム形式で、ビジネスパーソンとして押さえておきたい「DX」の概要をまとめます。

連載第3回目は、貴社は今、DX化のどこの段階にいるのかについて、解説します。


SDGs, ESG, サステナビリティ

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。今年こそはコロナ禍も収束して昨年及び一昨年より落ち着いた環境になってくれることを心から祈りたいと思います。

さて、本稿で連載しているDXですが、メディアでも経営関連のトピックとしてSDGs、ESG、サステナビリティといったワードが盛んに取り上げられるようになったせいか、やや影が薄くなっている気がしています。これらのトピックは機会があれば別途整理してお伝えしたいと考えておりますが、DXとも密接な関係があり、決して経営課題としてのDXの優先順位が下がったわけではない点は強調しておきたいと思います。

企業にとって、国連の定めた2030年目標であるSDGs、投資家目線で企業の経営規範を求めるESG投資、及び2030年よりずっと先を見据えたサステナビリティ経営のいずれも推進していくことはその基盤となるDXを推進していくことが前提であり、これらを切り離しして考えて対応することは経営としての方向性を見失う恐れすらあります。これらの用語に振り回されず、まずはDXにどう取り組んでいくか、今こそ腰を据えて考えるタイミングだと思います。

DXへの取り組みの成熟度

本稿の本題は、DX推進に関して「貴社は今、DX化のどの段階にいるのか」です。独立行政法人情報処理推進機構の調査によると、2020年初の段階で日本企業の95%がDXに未着手又は散発的な取り組みを行っているに過ぎない段階に位置付けられると報告されています。すでに先進的な取り組みを進めている企業も出てきていますが、大半の日本企業はまだこれからというのが現実なのではないでしょうか。

「コロナ禍で弊社もテレワークするようになった」

「顧客対応にオペレーターではなく、チャットボットで対応するようになった」

これらの対応も、今までと違う仕事の仕方をするようになったという意味では、トランスフォーメーションと言えなくもないですが、ここで経済産業省が開示した「DX推進指標とガイダンス」(2019年7月)を見て、これらの取り組みがどのレベルにあるのか、考えてみましょう。

出典:「DX指標」とそのガイダンス  2019年7月経済産業省

上述の例では、新しい情報技術に取り組んで仕事の仕方を変えようとしているのでレベル0ではなさそうですが、全社戦略が明確か(そもそも全社戦略があるのか)によってレベル1か、レベル2に分かれそうです。レベルアップを目指す上で、DXに取り組む全社戦略があるかどうかが最初の関門と言えそうです。

貴社は今、DX化のどの段階にいるのか

先述の情報処理推進機構が2021年6月に発表した「DX推進指標 自己診断結果分析レポート」によると、全企業における全指標の平均現在値は1.45となっています。さすがにレベル0の段階の企業は少ないものの、多くの企業がレベル2に到達していない、すなわちDXに取り組む明確な全社戦略を立案出来ていない実態がよく分かります。

チャットボットやRPAを一部の業務に導入している段階に留まっているなら、レベル1の段階と判断されます。経営トップから、全社メッセージ又は社外向けのメッセージでDXに取り組む明確な全社戦略が発信され、部分的にでも実際に取り組みが始まっているのであれば、レベル1~2の段階と判断されます。

まずは自社がどの段階にいるのか冷静に判断する事がスタートラインです。次号では現時点で多くの企業が属していると推定されるレベル1~2の段階の企業に焦点をあてて、この段階の企業が具体的に対応をすすめるべき内容について深堀していければと考えています。

当コラムは、全5回の連載となります。ビジネスパーソンとして知っているべきDX関連のお役立ち情報をお伝えします。第4回「具体的にまず何をすべきか」、第5回「DXを推進する上でどのような障害があってどう乗り越えていったらいいか」と続きます。

今回コラムを執筆頂いた方のプロフィール

鎌倉 俊太郎 (ペンネーム)

某大手コンサルティングファーム 監査役

日本公認会計士。慶応義塾大学卒。大手ITベンダー、コンサルティングファームにて、IT、会計分野における企業のコンサルティングに多数従事。(ご本人の希望により、仮名で記載しております。ご了承ください。)
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